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ロボットの開発設計はアサイ・エンジニアリングへ!
株式会社アサイ・エンジニアリング

ミニッツレーサーの御先祖様? その2


皆さん こんにちは!
前回のブログから、随分と日数が経ってしまい、とうとう4月になってしまいました。

ちょっと言い訳しちゃいますと、2月にイベントが2件続いてしまい、その後も年度末のいろんな事?が重なったので、なかなか更新が出来なかったのであります。

さて、その2月のイベントとは『お知らせ』のページでもお伝えした『テクニカルショウヨコハマ2017』と『横浜ベンチャーピッチ』というものです。
当社は昨年から積極的に、こういったイベントに参加しています。
まあ、宣伝活動の一環とでも言いますかね。
で、ちょっと意外だったのですが、いずれのイベントもいわゆる『ホビー系』では無く、どっちかというと、硬ーい『ビジネス系』だったにもかかわらず
「アバンテに憧れていた」とか
「ハングオンレーサーが欲しかった」とか
「ミニッツレーサー持っています」
といったRCファンの方々にたくさん出会いました。
で、私
「ラジコンが好きなヒトって、まだまだたくさんいるんだなー」
と、妙に勇気づけられてしまったのであります。
まあ、そんな事もあり『アサイ・エンジニアリングのオリジナルRCプロジェクト』
は、着々と進行中であります。ご期待ください。

さて、今回のブログの本題は『ミニッツレーサーの御先祖様?』の続編です。
前回のブログは、『任天堂レフティRX』のDNAが私を経由してミニッツに受け継がれている(かも?)というお話でした。
で、そういう『ミニッツの御先祖モデル』はレフティRXだけではなく、もう一台あるとも言いました。
という訳で、今回はその『もう一台』の方のお話です。

ところで皆さん、今回の見出しの画像は何だかお分かりですか?
まあ、メカ好きの方ならご存知ですね。
いわゆる『Eリング』と呼ばれる部品です。
これは、今回お話するモデルにとっても縁のある部品なんですよ。

ミニッツレーサーの御先祖様 その2 タミヤ タムテック 1/24シリーズ

タミヤニュース 1986 Vol.187

タムテックと言えば、私と同年代のRCファンの方ならご存知と思いますが、あのタミヤが送り出した、スモールRCカーシリーズですね。
で、この『初代タムテック』の企画が進んでいた1986年の初旬、私はタミヤ設計室の1年生で『ラジコン博士』として有名な滝文人さんの部下だったのであります。
で、その滝博士のもと、当時開発中だったニューモデル『1/12ポルシェ959』の開発補佐として、図面作成や試作、そして走行テストに明け暮れる日々を送っていました。
まあ私、滝博士に憧れてタミヤに入社してますから、今思えば夢のような日々を送っていた訳ですな。
(なのに、なーんで辞めちゃったのかねぇ~。 まあ、その訳はそのうちに・・・)

そんなある日、設計室をウロウロしていると、ある先輩が面白そうなものを設計していました。とても小さなシャーシに専用受信機を載せ、車体後部にマブチ180モーターを搭載しています。
もうお判りと思いますが、それは後にタムテックとなる1/24スケールのRCカーだったのでした。
で、私
「なんだか面白そうだな~」
と、毎日その先輩を眺めていましたが、その後まもなく、そのタムテックの開発に参加するチャンスが巡ってきたのであります。
ある日、設計室の課長が私のところにやって来て
「おい浅井! タムテックで人が足りねーから、おめー、ちょっと手伝ってやってくれ!」(注:強烈な静岡弁)
と、言いました。で、私、
「いったい、何をやらせてもらえるのかな?」
と、ワクワクしながら例の先輩のところに行ったのであります。すると、
「こういうものを設計して貰いたいんだよね」

タムテックの取説より

と、あるものの設計を頼まれたのでした。
それがこの部品、というか工具で、名称は
『Eリング・ピニオン用工具』
と言うものです。つまり見出し画像で紹介したEリングを脱着するための工具なんですよ。

詳しい説明は省きますが、小さなRCカーを設計する場合、このEリングはスペースを取らないので非常に具合がいいのです。だからタムテックはタイヤの取付を始め、さまざまな部分にこのEリングを使う設計になっていました。

しかし、ご存知の方も多いと思いますが、Eリングの脱着にはちょっとしたコツがいります。そこで、この作業が楽になるような工具をキットに入れようというハナシになり、その設計が私に廻って来たのでした。

使い方

なお、ちょっと補足しますと、どうせ専用工具を作るなら、Eリングだけではなく、モーターについた小さな歯車、いわゆる『ピニオンギア』にも使えるものをという事で、『Eリング・ピニオン用工具』というものになったのです。
さて私
「なーんだ、シャーシの部品じゃないのか」
と、ちょっと落胆したものの、なかなか面白いテーマなので、早速設計に取り掛かりました。

まずは軟鋼板を手加工してあれやこれやと試作品を作り、他の社員にも試して貰いながら形状を詰めていきました。
そして納得のいくものが出来たところで図面化し、関連のプレス業者さんに生産をお願いしました。試作品が出来上がった時、
「うまく使えるかなー」
と、ドキドキしながらEリングの脱着テストをした事も、今は楽しい思い出であります。

タムテックのタイヤ交換

さて、時は流れて1999年、私は京商の開発部で後にミニッツMR-01となるスモールRCカーを設計していました。
で、私はこのミニッツの設計に当たって、心に誓った事がありました。それは
「Eリングは使わない」
という事でした。
ミニッツは『誰でも手軽に本格RCを楽しめる』というコンセプトで開発を進めていましたから、脱着にコツがいるEリングは使うまいと思ったのです。
そこでタイヤの取付は、Eリングではなく、上級クラスのRCカーと同じ『ナット式』にしたのでした。
まあ、実は一か所だけ、リヤシャフトの一部にEリングを使っているのですが、ここは工場完成済みなので、問題ないかなと。

さて、この件には後日談がありまして、ミニッツMR-01の進化版であるMR-02を設計している時に、どうしてもEリングを使いたい部分が出てきました。でも、MR-01で掲げた『手軽に・・・』のコンセプトは崩したくない。
「いまさらEリングは使えないよな・・・」
と、さんざん悩んだ挙句、Eリングより多少?扱いやすい『Cリング』なるプラ部品を設計して使う事にしたのでした。

MR-02の取説より

で、それと一緒に設計したのが、この工具です。その名称は
『ピニオン&Cリング用ツール』
なんか、こう、歴史は繰り返すというか・・・
「なーんだ、結局、専用工具がいるんじゃねーか!」
という声が聞こえてきそうです。
でもね、こう言っちゃーなんですが、私、タムテックの開発に関わってから、専用工具の設計が好きになっちゃたんですよ。だから、つい設計しちゃうんです。言い訳になっていないかな?

ポルシェ962Cのフルキット

さて、このブログを書いていて、約30年前に設計したタミヤの『Eリング・ピニオン用工具』に再び会いたくなりました。
で、まあ、こういうときは、『困った時のオークション頼み』です。
そうしたら、運よく『ポルシェ962C』のフルキットが手に入りました。
で、箱を開けてみてビックリ! なんと『Eリング・ピニオン用工具』は『ブリスターパック』に納められていたのであります。
ブリスターパックと言えば、ラジコンキットでは、部品の特等席?みたいなもんです。見栄えが良くないと、入れてもらえないんですね。だから、なんだかちょっと感動してしまいました。まあ、忘れていただけなんですけどね・・・・

ブリスターパック

さて、2回に亘った『ミニッツレーサーの御先祖様?』はいかがだったでしょう?

たとえば、京商のスモールRCカーの系譜でいえば、ミニッツ以前に『リトルスポーツ』や『デミカ』というモデルがありましたから、直系の先祖というのは、そのモデル達になるのかもしれません。
だから今回お話した『御先祖』は、あくまで『私、浅井伸一を経由してミニッツにDNAを提供したモデル』という事になります。ちょっと分かりにくいですかね?

でも、こんな訳で『ミニッツレーサー』の成り立ちには、私の人生経験が深くかかわっている事がご理解いただけたのではないかと思います。
まあ、ラジコンカーに限らず、工業製品というものは、おそらくそういうもので、設計者の人生を映す鏡みたいなものなんでしょうな。

さて、私は現在も毎日さまざまなモノを設計していまして、設計者としてのキャリアは日々更新中なんであります。それに、独立した2008年以降は、短納期で難易度の高い仕事が多かったので、なんだかんだと、新しいスキルを身に着けてしまいました。
そんな経験を全部ブチ込んで、新しいコンセプトのスモールRCカーを企画したら、そりゃあ、凄いのが出来るはずなんですが、さて・・・

では今回はこの辺で。
次回は早めに更新しますので、ご期待のほどをお願いしますね。